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ちょい読み!教師のチカラ Vol.4

教師のチカラNo.38(2019年夏号)第1特集

この記事を読むのに、約1分程かかります。

教科書はおもしろい!

 教科書を読むときにまず意識すべきことは、おもしろいところを発見するということです。
 授業の多くは、教科書を使って進められます。教師自身が、教科書をおもしろいと思わないで授業しても、子どもたちがおもしろいと思うはずがありません。
 しかし、ほとんどの教師は、教科書をあまりおもしろいと思っていないようです。「おもしろくないなあ」と思いながら授業プランを考えても、よいアイデアは浮かんできません。
 次に示すのは、社会科の教科書の一節です(「自動車をつくる工業」平成30年度版『新しい社会5下』東京書籍)。

自動車工業のまち、愛知県豊田市
工業製品は人の生活を変え、豊かにしてきました。なかでも自動車は、わたしたちの生活を大きく変えました。

 このような何気ない文章からも、おもしろいところを発見することができます。おもしろいところを発見しようとする意識があれば、次のような考えが浮かんでくるはずです。
 ①「自動車工業のまち」とはどんなまち だろうか。
 ②工業製品は、人の生活をどのように変えてきたのだろうか。
 ③工業製品は、人の生活を豊かにしてきたのだろうか。
 ④なぜ自動車は、ほかの工業製品よりもわたしたちの生活を大きく変えたのだろうか。
 ⑤「大きく」とはどういうことだろうか。
教師自身が発見したおもしろさをどうやって子どもたちに感じさせるか、それが授業づくりの基本です。

教科書研究のステップ

 教科書から、おもしろいところを発見するためには、教科書研究のステップを身につける必要があります。
 次に示す図は、「教科書研究2つのステップ」です。

 ステップ1は、「教科書を読む」ということです。当たり前のように思えますが、きちんと読んでいる教師は意外と少ないのです。
 「きちんと読む」とは、教科書のすみずみまで一言一句もらさないで読むということです。社会科であれば、グラフや写真、地図の細部まで読むのです。
 ステップ2は、「構成要素を見抜く」ということです。
 構成要素を見抜くためには、まず、構成要素に分けることが大切です。社会科の教科書であれば、見開き2ページで20近くの構成要素に分けられるはずです。「構成要素に分ける」ことによって、おもしろい要素を見逃さなくなります。

教科書研究のステップを生かす

 大学院生が、社会科の研究授業をしました。単元は「低い土地のくらし―岐阜県海津市―」(平成30年度版『新しい社会5上』東京書籍)です。教科書には右下のような地図と2つの作業指示が掲載されています。

●海面の高さ(0m)よりも低いところに色をぬってみよう。
●地図帳で川の名前を調べて、記入しよう。

 この地図で、おもしろいと思ったのは、縮尺が示されていることです。
 2つの作業をさせるだけであれば、縮尺はあまり関係なさそうに思えます。大学院生も、授業で縮尺にはまったく触れず、地図に色を塗る作業をさせただけでした。この作業だけでは、海面より低い土地の広大さを実感として捉えさせることができません。しかし、3000mという縮尺を活用することによって、その広大さを捉えさせることが可能になります。たとえば、自分たちが住む地域で考えると、どのくらいの広さになるのかを考えさせるのです。
 縮尺をおもしろいと感じることによって、授業が変わるのです。
 なぜ縮尺のおもしろさを発見できたのでしょうか。それは、「構成要素に分ける」作業をしたからです。
 構成要素に分けるときのポイントは、できるだけ細分化するということです。
 この地図を、1つの要素と見るか、いくつかの要素に分けられると見るかで地図の見え方が変わってきます。
 細分化して見たからこそ、縮尺のおもしろさを発見することができたのです。
 構成要素に分けたら、次の2つの視点で一つ一つの構成要素をさらに深く見ていきます。
 視点1 意味を考える
 視点2 関連づける
 視点1について。
 「意味を考える」ときの基本は、「なぜ」で考えるということです。
 この地図であれば、次のように考えます。

 ●なぜこのような地図があるのか。
 ●なぜこのような作業をさせるのか。
 ●なぜ縮尺が示してあるのか。

 「なぜ」に対する答えは教科書のどこにも書いていないので、自分で考えるしかありません。そうすることによって、教科書を深く読み取ることができるようになっていきます。
 視点2について。
 一つ一つの構成要素の意味を考えたら、要素同士を関連づけて考えます。この地図で言えば、海津市の地形と縮尺はどのような関連があるかを考えるのです。そうすると、縮尺を使って、海面の高さよりも低い土地の広大さを実感させようというアイデアが浮かんできます。
 教科書研究の2つのステップを活用して、このような作業をしていくことが、教科書を読むということなのです。


表紙
子どもを「育てる」
教師のチカラ

子どもを「育てる」教師のチカラNo.38(2019年夏号)

特集① 力をつける教科書活用法
特集② 日常の活動で子どもの全力を引き出す!

¥1,100円+税(年間購読 ¥4,400円+税)