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ちょい読み!小学校新指導要録 改訂のポイント

小学校 新学習指導要録 改訂のポイント 「はじめに」より

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はじめに

 資質・能力ベースの新学習指導要領を受けて,現場では,「主体的・対話的で深い学び」に向けた授業改善や,「社会に開かれた教育課程」を実現するカリキュラム・マネジメントなど,さまざまな取り組みが進められている。しかし,そうした取り組みが持続し実を結ぶかどうかは,最終的にその成果がどう評価されるかによる。学力観は評価において具体化されるのであって,資質・能力の三つの柱の内実は,その評価のあり方によって実質的に規定される。

 「児童生徒の学習評価に関するワーキンググループ」では,新学習指導要領に対応する学習評価のあり方について議論がなされた。そこでは,資質・能力の三つの柱に即した観点別学習状況の評価のあり方など,新学習指導要領の趣旨をどう具体化するかという点のみならず,情意領域の評価のあり方,総合評定の是非,評価観の転換など,そもそもの評価システムのあり方に関する議論もなされた。ワーキンググループがまとめた「児童生徒の学習評価の在り方について(報告)」(2019年 1月,以下「報告」)には,最終的に具体的な形としては結実しなかった意見も含め,審議過程で提出された論点やさまざまな可能性も盛り込まれている。

 また,今回の学習評価改革は,概念的知識の重要性,「真正の評価(authentic assessment)」としてのパフォーマンス評価の考え方,学習者自身による学習のかじ取り(自己調整)を重視する新しい形成的評価の考え方など,近年の教育評価研究の知見をふまえたものとなっている。そして,新学習指導要領全面実施に向けた取り組みのなかで,こうした新しい評価の考え方をふまえた実践も現場において模索が始まっている。

 本書は,「報告」に盛り込まれた論点や実践の可能性を読み解き,学習評価改革と指導要録改訂の方向性を明らかにする。また,学習評価改革の背景にある,近年の教育評価研究の知見や諸外国の動向も紹介するとともに,パフォーマンス評価等に関わる日本の先進的な取り組みの成果をふまえつつ,各教科・領域における評価のあり方についても述べる。

 「働き方改革」が叫ばれるなか,学習評価改革がさらなる現場の負担(徒労感)を増やすのではなく,カリキュラムや授業の改善を進めることと評価が自然と接続し,子どもたちの学びの変容が可視化されることで新しい挑戦の手ごたえが得られるような,「働きがい」改革につながる道筋を読者が見いだせるものとなっていることを願う。

 本書を手がかりに,評価を生かした授業改善を楽しんで進めてもらえたらと思う。

 2019年 7月 石井英真


表紙
小学校 新学習指導要録 改訂のポイント

小学校 新学習指導要録 改訂のポイント

¥2,200円+税