授業がわかる!教材活用ポイント
子どもがわくわくする漢字の授業
「漢字をしっかり身につけさせるには,どうすればいいでしょう?」という若い先生が多いようです。また「授業の中で指導する時間がない」「宿題に出すだけ」との声もよく聞かれます。教材を使ったプラスひと工夫の授業で,子どもたちの漢字学習への取り組みがぐっと変わります。
〔授業者 増田修治(白梅学園大学教授)・千葉県鎌ケ谷市立東部小学校〕
1.導入 漢字の成り立ちでひきつける
だれでも知っている「東」を例に出すと,一気に手があがる!スタートはクイズのように…「蚊」
・「何て読むかわかるかな?」
・答える声が上がったら,すかさず「よくわかったね!」とほめる。
・虫がブ~ンと飛ぶ様子から,「“虫+文”で“カ”」だねと解説。
知っている字の組み合わせ…「東」
・「“東”は,何という漢字を組み合わせてできているかな」…「日と木」
・「“日と木”でできている字が他にもあるよ」…「杲たかい」「 杳くらい」を紹介。
【2つの字の組み合わせから,意味を考える】
最近習った漢字は…「訓」
・「最近習った漢字で,“川”を使った字は?」と新出漢字に結びつける。
2.書く 字形を意識してみんなで空書き
動きをそろえて、みんなで空書き目的をはっきりと
「今日は,“協” “卒” “省”を勉強するよ」
板書した漢字をみんなで「空書き」
とめ ,はね などの字形のポイントを伝え,リズミカルに書く。(2回繰り返し)
文字の「おぼえ方」を提示する
例…「“協” は “木へん ” ではなく “十じゅう” だよ。力を合わせるから “十たす” とおぼえよう」
漢字ドリルに書かせる
字形や画数などのポイントに気をつけ,ゆっくりていねいに書かせるようにする。
3.読む 漢字をみんなで声に出して読む
ぐっと顔を近づけて、大きな声で!全員で声を出して読む(1ページ10問)
先生のあとに, 子どもたちが読む。「みんなうまいねぇ」と声をかけながら進める。
漢字の例文をペアで読む
読みのページを読む役と,書きのページで確認する役に分かれる。3回読んだら交代。
時間を区切って挑戦!
「30秒で3回読もう!」「えぇ⁉ 」「じゃあ2回でいいよ」
※ いったん高めに設定した目標を下げると,はじめの目標に近づこうと努力する。
結果を確認
「何回読めたかな?」と聞かれて,子どもたちがわれ先に報告。役割を交代して再度挑戦!
4.自学・自習 宿題や朝自習で進めていけるように

1行ずつノートに書く
空書きで指導したポイントに注意して,今日習った字を1行ずつノートに練習してくる。
音読する
教室でのペア学習のように,家の人に聞いてもらい,すらすら読めるようにしてくる。
読める=漢字をおぼえる第一歩
翌日の朝自習で復習
子どもだけでペア学習を進められるように,授業で指導をしておきたい。
週一回の小テストで定着
進度に応じて,ドリルやプリントの紙面を使ってもよい。
◆ Point 組み合わせてできている漢字

子どもたちは,漢字がどのようにできているかを十分に理解していません。面白い漢字やだれでもわかる漢字を取り上げ,「字は組み合わせてできている」ことを意識づけます。最近習ったばかりの漢字を取り上げると,よりいっそう定着しやすくなります。
また,子どもが自分で「組み合わせてできている漢字」を見つけるようにすると,漢字への興味がわき,理解がさらに深まっていきます。
★ A子先生の見学ノート

先生は,声のトーンや子どもへの目の向け方,立つ位置や動作などにも気を配っていました。子どもを授業にひきつけるには,オーバー気味なアクションなど,「演じる」ことも必要なのだと気づきました。
ふだんなんとなく行っている動作にもう少し気を配ることで,子どもの反応がこんなに変化するものなのか!と感じました。
関連教材

教材:くりかえし漢字ドリル