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休校明け 子どもたちをどう迎えますか

新学期が始まります。3月の休校以来、子どもたちとの久しぶりの顔合わせになります。その日のための参考資料をご紹介いたします。

 

新年度に語りたいこと     鈴木健二先生

(新年度の子どもたちとの出会いのとき、こんな語りかけをしてはどうでしょうか)


「新型コロナウイルスで世界中が大変なことになっています。でも、大変なことになったことによって、学べたこともたくさんあります」

 

発問1 あなたは何か学んだことがありますか。

「学んだことがある」という子どもに発表させる。

 それぞれの学びを受け止め、意味づける。

「先生もいろいろな学びがありました」

と言って、女の子がミシンで何かを作っている写真(1)を提示する。

 

発問2 この人について知っていることがありますか。

知らない子どもが多いと思われるので、マスクに添えられた「この一枚が皆様のお役に立ったら嬉しいです!」と書かれた手紙の写真(2)を提示して、

「どういうことかわかりましたか」

と問いかけ、考えさせる。

だれかのためにマスクを作ったのではないかという考えが出されるだろう。

それぞれの考えを受け止めたあと、次のような説明をする。

〇この人は、山梨県甲府市の中学1年生の滝本妃(たきもと  ひめ)さんです。滝本さんは、自分でためてきたお年玉で布などの材料を買ってマスクを手作りして、600枚のマスクを山梨県に寄付しました。そのマスクは高齢者施設や児童養護施設などに届けられています。

 説明したあと、次のように話す。

「この話を聞いて、自分のお年玉を使って、知らない人のためにマスクを作るなんて、先生にはとてもできないなと思いました。こんな中学生がいることを知って、本当にうれしく思いました」

 

発問3 滝本さんから、あなたはどんなことを学ぶことができますか。

次のような考えが出されるだろう。

 ・自分のお年玉を使ってマスクを作るなんてすごい。

 ・誰かのために、自分にできることをやっていることがすばらしい。

 ・自分にも何かできることがあれば、やりたいと思った。

 これらの考えを受けて、次のように話す。

「新型コロナウイルスの影響は、まだまだ続くかもしれません。でも、誰かのために自分にできることをやろうとする人が一人でも増えれば、きっと乗り越えることができるのではないかと思っています」

*記事と写真はNHK NWS WEB「中学生の手作りマスク 高齢者施設や児童養護施設などに 甲府」(2020年3月23日)などに掲載されました。

*5月20日現在、NHK NWS WEB での掲載が終了しておりますので文中の写真(1)及び写真(2)をご覧にいただくことができません。お詫び申し上げます。

 

鈴木健二先生

鈴木健二先生

愛知教育大学大学院教育学研究科教授

主な著書に『必ず成功する! 新展開の道徳授業』『思考のスイッチを入れる 授業の基礎・基本』『新しい道徳授業の基礎・基本』のほか、『中学校道徳 ワンランク上の教科書活用術』(4月下旬刊行予定)がある(以上、日本標準)

 

新学期、子どもたちと一緒に考えたいこと  荒巻恵子先生

 学校現場にとって、日本にとって、世界にとって、これほどの非常事態に、先生がたも、保護者の皆さまも、子どもたちの健康管理を第一に考えておられるときかと思います。

 私の専門であるインクルーシブ教育学の立場から今回の事態を考えます。

 現代では多様性に着目し、障害者、高齢者、子ども、男性、女性、様々な人たちが共に生きるインクルーシブ社会を目指して、多様な人たちの存在を知り、その人たちと共生していくために、どのように行動できるかが問われます。

 新型コロナウィルス感染症における社会の非常事態は、日本だけでなく、世界各国が一丸となって、大人も子どもも、未知なるウィルスに立ち向かう人類の戦いでもあります。まさに、社会の中で、私たち一人一人の行動が問われています。

 ノーベル医学賞受賞者の山中伸弥氏は、新型コロナウィルスの影響で、春の全国高校野球大会が中止になったことを受け、高校生たち自身の健康のみならず、新型コロナウィルス罹患率の高い高齢者への重症度を配慮した措置としてこのことを受け止めた高校球児たちを称賛しています。

 

 英国では、医師たちが、「Stay at Home!(家に留まって!)」という意見表明を出し、欧州に拡がっています。無症候感染者と呼ばれるウィルス感染を自覚していないような軽症の感染者が感染を拡げていることへの警鐘です。

 インクルーシブ教育では、「Stay:留まる」という一見、受動的な、消極的な行為は、相手を思いやることや、協働していくことと同様に重要な行為で、「ネガティブ・ケイパビリティ」が原動力になっています。作家で医師である帚木蓬生氏は、「ネガティブ・ケイパビリティ」を「答えのない事態に耐える力」として訳しています。今までの教育の概念にない、問題解決はすぐにはできないけれど、敢えて勇気をもって留まる力として、注目されます。

 新型コロナウィルス感染症は、今、教育においては、この答えのない事態に耐える力、「ネガティブ・ケイパビリティ」について、考えていくいい機会かもしれません。

 

荒巻恵子先生

荒巻恵子先生

帝京大学大学院教職研究科教授、東京学芸大学教員養成開発連携センター特命教授

主な著書に『インクルージョンとは,何か?』(日本標準),『教師をめざす学生のための教育情報リテラシー15日間〈パート2〉』[共編著](現代図書)がある

 

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