ウィーン・飛ぶ教室///第3回:ウィーンの暮らしー小学校編―

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ウィーンに来てから、日本とは大きく異なるコロナに関するさまざまな対応があまりにもインパクトがあったために、少し前のめりで話しすぎてしまいました。

今回は、ウィーンでの私たちの普段の生活をお話ししようと考えています。

とはいえ、日本でも、オーストリアでも、私たちの生活は基本的には、子どもたちを学校や幼稚園に送っていき、仕事をして、また子どもたちを迎えに行くという繰り返しで、あまり変わり映えしないのですが、とにかく書いてみます。

 

小学生の1日

学校のある平日は、6時半過ぎに起床し、着替えさせて、朝食を食べさせます。これが結構な大仕事であることは日本でもオーストリアでも変わりません。

小学校(Volksschule)の始業時間は8時で、7時45分に予鈴がなります。この時間までに来るように言われていますが、みんな比較的のんびり登校してきます。

小学校は自宅から徒歩3分ほどのところにありますが、7時半には出るようにしています。真冬であれば、この時間はまだうす暗いことがあります。

真冬の子どもの服装は、帽子、手袋、マフラー、冬用ブーツ(ゴム長靴ではない)が必須です。幼稚園であれば、スキーウェアを着て登園する子どももいます。

 

冬用ブーツ。外側はゴアテックス、内側はボア素材などが使用されており、防水、防寒はばっちり

 

保護者は校門のところまで送迎する場合が多いです。3,4年生(こちらの小学校は4年制)になると1人でくる子どももいます。

登校スタイルは自由です。どういう意味かというと、車で送ってきてもらう子もいるし、自転車の後ろに乗せてもらってくる子や、キックボードに乗ってくる子もかなりいます。

親は自分のキックボードに、子どもも自分のキックボードに乗って学校へ来る場合もあります。親はこの後、キックボードで仕事に行くようです。

子どものキックボードは学校に置いておくことができます。学校まで安全に来ることは個人/家庭の責任とされているわけです。

 

教室に入る前に、クロークへ行き、そこでコートや帽子を脱ぎ、自分の割り当てられた場所にかけておきます。また靴も脱ぎ、上靴に履き替えます。

上靴はどのようなものでもいいのですが、街の靴屋へ行くと、Patschen(パッチェン。オーストリア・ドイツ語。ドイツ語では、Hausschuhe(家の中の靴)という)がたくさん売られています。

アニメのキャラクター付きのパッチェン

 

ドイツ語圏では、学校や家庭では、玄関で靴を脱ぎ、上靴やスリッパに履き替える習慣があるのです。

ただし、日本の玄関のように段差で上と下を区別しておらず(最近のマンションなどではバリアフリーな玄関が一般的ですが)、その境界は比較的あいまいです。

私が個人的にいいなと思うのは、靴だけでなく、上着もこのクロークで脱ぎ、室内に入る点です。上着についたホコリ(や花粉)を中に持ち込まないからです。

一般家庭の玄関にも上着を置くための比較的広めの場所が作られていることがほとんどです。ドイツ語圏は、靴と上着を玄関で脱いで置いておくことで、外と内を分けているように思います。

 

教室にはカバン(Schultasche)だけを持って入ります。教室には簡単な手洗い場が付いていて、現在は、登校するとコロナ感染予防のために手を洗うように言われます。

ペーパータオルも備え付けられています。ちなみに、お手洗いにもペーパータオルは基本的に備え付けです。

 

カラフルな学校カバンの売り出し

 

7時45分より前に来れば、指定された教室の前の廊下で遊ぶことができます。危なくない範囲で、やわらかいスポンジのボールでサッカーなどもしています。

教室においてあるゲームをしたり、本を読んだりすることももちろんできます。

 

8時からは基本的に授業の時間です。時間割は担任によって比較的柔軟に運用されているようです。

ドイツ語の習得が十分ではない子どもは、レベルによりますが、数時間をドイツ語促進学級で学ぶことが必須とされています。

うちの子どもの学級は、13人と非常に少ないのですが、それでも国籍(または本人または保護者の出身地)はセルビア、ルーマニア、ドイツ、日本、トルコ、ウクライナ、イギリスと多様です。

そこからうちの子どもも含めて、4人がこのドイツ語促進学級に振り分けられています。やはり移民の背景を持つ子どもが大半です。このドイツ語促進学級については、また別の機会に改めてお話ししたいと考えています。

 

この学校では、ドイツ語を母語としない子どもの割合は33%です。これはオーストリアの平均に相当します。もちろん、ドイツ語を母語としない子どもでも、移民2世や3世になれば、ドイツ語に問題がない子どもたちもたくさんいます。

しかし、ウィーンの地域によっては、小学校におけるドイツ語を母語としない子どもが実に9割に及ぶようなところがあります。

ブリギッテナウ(84 %) やマルガレーテン(87.6 %)といったところは、第二次世界大戦後、移民が多く居住した地域です。

あるいは、ブルゲンラント州は、市民の48%が隣国のスロヴァキアからの移民です。彼らの多くは子どもを抱えた比較的若い世帯であるために、幼稚園や小学校でのドイツ語促進学級がより多く必要とされています。

 

さて、話を学校生活に戻します。10時ごろになると、持ってきた軽食(Jause,ヤウゼ)を食べます。これはお弁当ではなく、10時のおやつ的なものです。

お菓子やジュースは基本的に持ってきてはいけないことになっています。サンドイッチやフルーツ、クラッカー、チーズ、フルーツジュースなどです。

水筒も毎日持ってくるように言われます(中身は水です)。全部食べても、食べなくてもよいのです。これを食べれば、遊んでよいことになっています。

このヤウゼは準備がとても楽です。うちの子どもは、果物が好きなので、リンゴとバナナをそのまま持っていき、ほかには市販のシリアルバーを一つ入れていけば十分です。

ほかの子どもも、パンにチーズとハムを挟んだもの、クラッカーや個包装のチーズなどで、日本のお弁当などのように調理されたものはほとんどありません。

いわば「乾きもの」で構成された簡単お弁当です。水筒もお茶ではなく、水道水(ウィーンの水はアルプスの天然水なのでとてもおいしいのです)なので、帰ってきてから水筒を洗うのも楽です。

この「乾きもの」お弁当と水道水入り水筒は日本へ帰っても続行しようと実はひそかに決めています。

 

子どもが通う学校は、ドイツ語圏に伝統的な半日学校です。12時あるいは遅くとも13時には学校が終わります。

これは、ドイツ語圏では昼食がメインの食事で、夫は職場から、子どもも学校から家に帰ってきて、専業主婦の母親が作った昼食をとるということが長く伝統としてあったからです。

しかし、現在では、職場が遠方にあったり、女性の社会進出や子どもたちの学力という理由から、全日学校への改革が進められています。

全日学校でも、午前中は授業、昼食ののちは学級ごとの活動が行われます。こうした全日学校はとても人気があります。

 

学童クラブ

うちの子どもの学校は半日学校ですが、同じ建物内に学童クラブ(Hort)があります。うちの子は、この学童にも通っています。学校が終われば、同じ建物の中を移動し、学童に行きます。

学童の異学年編成のグループごとに昼食を取ります。スープ、メイン、デザートからなる食事です。口に合わない食事が出た場合は、「これは食べたくない」ということができます。その場合には、食べられるものを多めに食べたりします。

宿題をしてからは自由時間。15時ごろにはおやつ(Jause)の時間です。近所の公園に行ったり、学校の体育館、校庭などで遊ぶこともできます。

この学童は、土日祝日を除き、長期休暇中も子どもを受け入れてくれます。1つのグループには、ペダゴーゲ(Pädagoge)と呼ばれる学童指導員と、アシスタントが付きます。

また兵役の代替として社会奉仕役務についている若い男性がいる場合があります。

この学童は基本的に誰でも希望すれば参加することができ、その際には保護者の就労証明などは不要です。費用は、食事やおやつ込みで、4万円程度です。

また、学校では、学童とは別に、英語教室やチェスクラブ、サッカークラブ、サイエンスクラブなどが、外部のスクールなどによって運営されています。

費用は別途必要ですが、下校時間が少し遅くなるので、働く親にとってはこれも子どもの預け先の選択肢となっていると思われます。なお、学校は教室を会場として提供するのみで、教員は一切かかわりません。

次回は幼稚園の1日についてお話ししたいと思います。

 

伊藤実歩子(立教大学文学部教授)

 

筆者注


なお、コロナの状況やそれに関する法案やルール、またあるいはウクライナを含む世界情勢については、日々情報が更新されます。この記事がアップされる頃には全く様子が変わっているということもあります。できるだけ正確に書いておくつもりではあるのですが、このエッセイ全般にわたり、現在の状況を書いたものではないことをご理解いただきたく思います。

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