ウィーン・飛ぶ教室///第4回:ウィーンの暮らし-幼稚園児編-

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下の子は5歳でウィーンからの財政支援がある私立幼稚園に通っています。自宅から徒歩で15分くらいのところにある複数の美術館が集まる区画の中にあります。

小さな幼稚園ですが、小さな園庭にブランコや子どもの小さな家、砂場、テラスがついています。オーストリアは保育園と幼稚園の区別はなく、幼児が通う教育施設は幼稚園で、そこではほぼ終日保育が可能です。

上の子どもを送った後、8時過ぎに下の子どもを幼稚園に送っていきます。

6か月から5歳までの子どもが受け入れ可能で、朝7時から17時半までの保育時間です。0~2歳児クラス、3~4児歳クラス、5歳児クラスがあります。

持ち物は特にありません。着替えは1組だけ幼稚園に置いておきます。ここでも、ジャンパーや帽子を所定の場所にかけ、上履きに履き替えて保育室に入ります。

幼稚園では、8時半過ぎから9時半までをめどに「2回目の朝食」が提供されます。1回目は自宅で取る朝食です。

うちの子どもは、家で朝食をしっかり食べていくにもかかわらず、この第2朝食もとても楽しみにしています。

日本でも、保育園では1歳児2歳児あたりまで10時ごろにおやつが提供されることがありますが、それよりももっとしっかりした朝食です。パン、バター、ジャムまたはハムやチーズ、あるいはコーンフレークなどが提供されます。

自宅で朝食が取れない子どもへの配慮という側面が強い「第2朝食」です。

 

9時までに登園することが推奨されているのは、日本と同じです。9時以降、自由遊びなどがあって11時過ぎから昼食です。

昼食は、学童と同様に、スープ、メイン、デザートからなる温かい食事が提供されます。

非常にオーストリア的であるのが、週に1度くらいの頻度で、メールシュパイゼ(Mehlspeise)という甘い味の食事が出されることです。

原語を直訳すれば、小麦粉の食事(いわゆる「粉もん」)なのですが、アプリコットジャムをのせたクレープのようなパラチンケン(Palatschinken。私の好きなオーストリア・ドイツ語の一つ)や、カイザーシュマーレンというホットケーキのような、「甘い粉もん」の食事がそれにあたります。

これは、ハプスブルク帝国のフランツ・ヨーゼフが大の甘党で、それを主食したことが起源だという説があります。子どもたちはこのメールシュパイゼが大好きです。

 

冬季に特設される市庁舎前広場の屋外スケート場で軽食として購入したカイザーシュマーレン。カイザーは、フランツ・ヨーゼフのこと。リンゴのムースが添えられて、7.4ユーロ。

 

昼食後は、休憩時間で、お昼寝をしてもいいし、しなくてもいい時間です。お昼寝が終わるころには15時のおやつ(Jause)が再び提供されます。

パン、バター、ハムやチーズ、フルーツ、野菜スティックなどが多いらしいです。基本的に自分の好きなものを自分でとりわけ、嫌いなものがあれば食べる必要はありません。

15時以降17時半まで、徐々にお迎えが来て、子どもたちは順次帰っていきます。お迎えは、祖父母、ベビーシッターなどさまざまです。

 

幼稚園の庭

 

オーストリアの幼稚園が、日本と大きく異なる点が1つあります。それは5歳児保育(いわゆる年長組)が義務化されている点です。

この義務化は2010年からです。この制度によって、5歳児保育はいわゆる就学前教育と位置づけられ、それまでとは異なる、少し難しい課題にも挑戦するようになります。

うちの子どもは、最初は言葉の問題と定員の問題から4歳児クラスにいましたが、6か月目から年長クラスに移動しました。

するととたんに短い文章を話したり、曜日や季節の名称に言及したりするようになり驚きました。ルールが少し複雑なゲームなども導入されたりしているようです。

こうした活動を行うことで、移民を背景に持つ子どもたちの就学前に必要なドイツ語の習得が促されているように思います。

 

お迎えの際に観察していると、小学校でも幼稚園でも、保護者とはドイツ語ではない言語で話している子どもたちが非常に多いことに気が付きます。

それは意図的に彼らの母語を話している場合と、保護者がドイツ語ができない場合とに分けられるように思います。

幼稚園の費用は、月額およそ16,000円で、夕方まで保育を希望する場合も保護者の就労証明などは不要です。

ただし、ウィーンでは終日保育可能な幼稚園の数が非常に不足していることが言われています。これは日本の都市部の状況に非常によく似ています。

わたしたちは入国後すぐに今の幼稚園を見つけることができましたが、それは非常に幸運なことだと会う人ごとに言われました。幼稚園・保育園不足はウィーンも日本も同じように大きな社会問題なのです。

次回は、そうしたことに悩む働くママの1日についてお話ししたいと思います。

 

伊藤実歩子(立教大学文学部教授)

 

筆者注


なお、コロナの状況やそれに関する法案やルール、またあるいはウクライナを含む世界情勢については、日々情報が更新されます。この記事がアップされる頃には全く様子が変わっているということもあります。できるだけ正確に書いておくつもりではあるのですが、このエッセイ全般にわたり、現在の状況を書いたものではないことをご理解いただきたく思います。

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