教師のその言葉かけ、大丈夫?///第14回 「だって」じゃありません!

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日本標準

子どもへの指導は、言葉によって行われます。先生の言葉かけ一つで子どもが変わっていきます。その言葉も効果的なものとそうでないものがあります。

この連載では、先生のちょっと気になる言葉のいくつかについて、解説していきます。ただし、NGワードとして出てくる言葉は「使ってはいけない」ということではありません。

局面に応じては有効な場合もありますし、緊急時などは、言葉を選んでいる余裕はありません。

ぜひ、先生の使っている言葉を意図的・意識的に用いて子どもを育ててほしいと願っています。

1.「だって」じゃありません!

「○○くんと□□くんがけんかしてます!」という報告。

とっくみあいのけんかの仲裁に入って「なんでけんかしたの!けんかしちゃだめでしょ!」と聞くと、「だって□□くんが…」。

ここで先生が一言。「『だって』じゃありません!」

宿題を忘れた子どもに「どうして忘れたの!?」と「『だって』きのう…」と言い始めます。

そこで先生が一言。「『だって』じゃありません!」

子どもの発言をさえぎって「『だって』じゃありません!」と言っていませんか?

 

2.問題の所在

子どもにとっては「どうして?」「なぜ?」と聞かれたから「だって…」と先生に理由を言おうとしたのに「『だって』じゃありません!」と否定してしまうと次のような問題が生じてきます。

 

  1. 子どもなりの理由を聞けなくなる
  2. 子どもと先生の心理的距離が遠くなる
  3. 先生への不信感が増してくる

 

3.こんな指導をしてみましょう

01.だって、どうしたの?

「だって…」の後には、その子どもなりの理由が続きます。子どもが何か話し始めたら、最後まで聞いてあげるのが基本です。

一気にまくしたてるように話す子どももいますし、「だって…」と言った後で一呼吸して(話しても大丈夫かな?)と様子をうかがう子どももいます。

そんな時は「だって」と言い始めたら「だって、どうしたの?言ってごらん」と発言を促します。

子どもなりの言い分を受け止めて、納得できる部分は「そうだったの。」と受容します。

一方で正さなくてはいけない部分については「でも、ここがまずいよね」と話してあげます。

子どもは自分の心の内を話してしまうと不思議なもので落ち着いて自分の不十分さに納得してくれます。

 

02.何か言っておきたいことある?

「先生はぼくの話を聞いてくれない」「先生は怒ってばかり」そう思わせてしまっては、子どもとの距離がだんだん遠のいていきます。

子どもが黙っていて理由を言わない場合は「理由がないと○○くんはこんなことをしないでしょ。」と問いかけたり、先生が話をした最後に「何か先生に言っておきたいことはありませんか?」と付け加えたりしておくとよいでしょう。

「いつでも話を聞くよ」と先生の心の窓が開いていることだけでも伝えておくことで、その後の関係を築きやすくなります。

 

03.「だって」は子どもの本音

「『だって』じゃありません!」の裏には、「先生に意見(口答え)してはいけません」と教えていることになります。

この言葉を繰り返していると、万が一、きちんとした理由があったり、先生の誤解があったりした時に修正がききません。

先生の発言が常に上からの押し付け、強要と感じさせてしまうと、学年が上がれば上がるほど、自我が芽生え、自主的な動きをしたい子どもとの溝が深まります。

「『だって』じゃありません!」と言いそうになったら、(『だって』は子どもの本音が聞ける!)と思って、まずは話を聞いてみましょう。叱るのはその後からでもできます。

 

4.目指す子どもの姿

理想はいつも仲良く過ごしている子どもたちの姿です。でも、子どもはけんかをはじめとする様々な失敗やトラブルを乗り越えて成長していくものです。

「盗人にも三分の理」ということわざもあります。「だって」という子どもの言い分を先生が受けとめてあげることで、先生と子どもとの関係はよくなり、結果的に「だって」という言葉自体が減っていくはずです。

 

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