教師のその言葉かけ、大丈夫?///第17回「でもね」「だけどね」

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日本標準

子どもへの指導は、言葉によって行われます。先生の言葉かけ一つで子どもが変わっていきます。その言葉も効果的なものとそうでないものがあります。

この連載では、先生のちょっと気になる言葉のいくつかについて、解説していきます。ただし、NGワードとして出てくる言葉は「使ってはいけない」ということではありません。

局面に応じては有効な場合もありますし、緊急時などは、言葉を選んでいる余裕はありません。

ぜひ、先生の使っている言葉を意図的・意識的に用いて子どもを育ててほしいと願っています。

1.「でもね」「だけどね」

子どもと話をしている場面です。先生の考えと「ちょっと違うなぁ」というときがありませんか?

例えば、宿題や学習用具を忘れた言い訳に対してこの一言。授業や学級会の話し合いで自分の意見が通らなくてふてくされている子どもの言葉に対してこの一言。個別の相談を受けていて「そんなに気にするほどでもないけどなぁ。」という子どもの声に対してこの一言。思春期に入って反抗的になってきた子どもの意見に対してこの一言。

「でもね、それ言い訳でしょ。」「だけどね、その意見じゃ、みんな納得してくれないよ。」「でも、その考え方、よくないよ。」

2.問題の所在

先生が、その子どもの今後のためを思って、学級や社会全体の流れにそぐわない意見や考え方を否定し、正そうとすることがあります。正しい考えや態度に導くことは悪いことではありません。ただし、その子どもとの関係に問題が生じることがあります。

 

  1. 怒られている気持ちにさせてしまう
  2. 反感を抱かせてしまう
  3. 失望感を抱かせてしまう

3.こんな指導をしてみましょう

01.怒られている気持ちにさせてしまう →「先生の話聞いてみる?」

「でも」「だけど」という言葉は、子どもにとっては「自分の考えを否定された」「ダメと言われた」、つまり「怒られた」という思いにさせてしまいます。先生は正しい考えを伝えようと「でも」「だけど」に続く言葉をかけているはずです。「だけど」この言葉によって、後に続く大事な言葉が耳に入らなくなってしまいます。

まずは「そうかぁ、そう思ってたんだね。」と受け止めた上で、「先生の考え話していい?」「先生の思ってること聞いてみる?」と子どもに選ばせましょう。落ち着いている子どもであれば先生の話を聞いてくれるはずです。まだ、興奮冷めやらぬ場合であれば、無理強いせず「気が向いたら先生の話を聞いてね」と伝えておけばよいでしょう。

 

02.反感を抱かせてしまう → 「そうだよね~」

子どもによっては先生の正論に対して「そんなこと分かってるよ。」と思っている場合があります。特にだだをこねている状態であればなおさらです。にもかかわらず「でもね…」と返されると「なんだよ!」と反感を抱かせてします。子どものやり場のない怒りを先生にぶつけてしまうこともあります。

そんな時は「そうかそうか」「そうだよね~」と子どもの気持ちを受け止めるだけで十分です。

 

03.失望感を抱かせてしまう → 「分かる分かる」

子どもの言葉をさえぎって「でもね」「だけどね」と話すことによって、その後、子どもが話しにくくさせてしまうことがあります。子どもによっては「先生は私の話を聞いてくれないんだ。」と口を閉ざし、先生に失望してしまうこともあります。

こんな時は、「うんうん、分かる分かる。」と子どもの言い分を受け止めます。その上で「そうだよね、でもね…」と続けます。

いきなり「でもね…」「だけどね…」と先生の考えを言うよりも、子どもが心を開いてくれます。

4.目指す子どもの姿

低学年の子どもであっても、思春期の高学年であっても、大人の話を素直に聞いてくれるのは理想の姿です。ただ、子どもも自分の言い分がありますし、まずは自分の話を聞いてほしいものです。先生が「うんうん、分かる分かる。」「そうだよね、分かるよ。」と共感してあげましょう。

「分かるよ」というのは、あくまで「子どもの言い分は理解した」ということです。「賛成している」ことではありません。子どもの心をいったん開かせて、その後、先生(大人)の考えを伝えましょう。それも「子どもが気付いてくれたらいいな」くらいの気持ちです。

このような場面をきっかけに、子どもと先生の心がつながっていくと、そのうち先生(大人)の考えも分かってくれますよ。

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